税務相互相談会の皆さん、こんにちは。
以下について教えてください。
【税 目】
法人税法・相続税法
【対象顧客】
法人・社長個人間
【前 提】
・一般的な社歴の長い事業会社(建設業)の案件
・役員は社長夫妻のみで株主は100%社長が所有
・平成初期に法人が、社長所有の土地Aの上に本社建物Aを建てており、
本社建物敷地の隣に社長個人宅Bがある。
それぞれ筆は分かれており、建築時期もバラバラである。
社長個人宅は建物B・土地B共に社長が所有している。
・当初、法人が本社建物を建築した際は、無償返還届出書を使用貸借形態で提出している。
その一年半後に、契約形態を賃貸借に切り替えており、賃貸契約書の締結と地代の支払を開始した。
以後、社長個人は不動産所得の確定申告は行っているが、土地の無償返還届出書は使用貸借のまま出し直していない。
当然ながら、法人でも契約変更以降、地代を経費にし続けている。
※地代は、現在の固定資産税評価額で算定しても、固定資産税の3倍以上である。
(隣通しでつながっている2つの区画の物件)
建物A 法人所有の本社建物
土地A 社長所有・法人へ賃貸しており無償返還届出書(使用貸借のまま)を提出済み
(約185㎡)
建物B 社長所有・社長個人宅
土地B 社長所有・社長個人宅敷地(約200㎡)
【質 問】
当初無償返還届出と賃貸契約書の記載ミスがある場合でも、
実質課税の原則に基づいて課税関係が成立するのかご教示ください。
前提に記載のとおり、今回の事案は法人の本社敷地である土地Aについて、
不動産の賃貸借契約や土地の無償返還届出が提出されていなければならない事案です。
しかし、経緯は定かでありませんが、平成初期に作成・提出された、不動産の賃貸借契約・土地の無償返還届出ともに、
「社長個人宅敷地である土地B」の地番を記載して提出されています(なお、地積は土地Aの185㎡と記載されていました)。
更に、土地の賃貸借契約書には、「賃貸契約終了後に、法人が社長へ、
土地を無償で返還する旨の条項」が記載されていませんでした。
社長の認識としては、当初より法人・個人間で権利金のやり取りをする気は毛頭なく、
賃貸契約終了後に、法人が社長へ、土地を無償で返還する意向でした。
弊所の見解としては、経済的な利用実態・社長が数十年来不動産所得を確定申告している事実・
法人が数十年来地代を損金計上している事実・地番は土地Aの185㎡と記載されている事実等を総合勘案すると、
当初作成した書類に記載ミスがあったとしても、実質課税の原則基づいて、
土地Aに対して「賃貸借契約や無償返還届出」の効力が生ずべきであると思料します。
また、「土地を無償で返還する旨の条項の記載漏れ」に関しても、土地の無償返還届出を提出している事や、
平成初期に契約を締結して以降、30年以上権利金の収受が行われていない事実を鑑みれば、社長が主張する通り、
「賃貸契約終了後に、法人が社長へ、土地を無償で返還する意向であった事」は事実であると推認できます。
時効は優に経過しているため、権利金課税について課税当局が主張してくる可能性も低いように感じます。
従って、仮に書類の作成に不備があったとしても、社長に「土地の賃貸借契約の覚書等」を作成して頂き、
「賃貸借契約や無償返還届出の地番に記載ミスがあった点」「土地を無償で返還する旨の条項の記載漏れがあった点」
を補足説明して、当初の書類を補完することで、より事実関係・課税関係を明確化できるのではないでしょうか。
【参 考】
URL: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_48.htm