税務相互相談会の皆さん
下記について教えて下さい。
【税 目】
相続税・贈与含む(井上幹康税理士)
【対象顧客】
個人
【前 提】
・令和6年3月に被相続人甲が死亡
・相続人は甲の配偶者乙、長女丙、長男丁の3名である
・令和7年1月に遺産分割が整い、期限内に相続税の申告を行った
・相続財産は不動産の他預金が総額5000万円ほどあった
・不動産はほぼ乙が取得し、預金を丙、丁がそれぞれ1/2ずつ取得することとなった
・遺産分割に際して協議は円満に済んだため、なんら問題が無いように思われたが、
相続税申告後に乙より自分が希望していた分割案ではないとの申し出があった。
・預金について、丙、丁が1/2ずつ取得するのではなく、まず自分が1/2を取得した上で、
残りをそれぞれ1/2ずつ取得させるつもりであった、
金融機関の窓口で手続きに行き初めて事実を知った、とのことである。
・丙、丁は金融機関の相続手続を保留しており、乙が分割案について
勘違いしていたのであれば遺産分割をやり直しても良いと考えている。
【質 問】
上記のような場合において遺産分割をやり直した場合、贈与税の対象となるのでしょうか。
仮にリスクを承知で遺産分割をやり直した場合、
積極的に贈与税の申告をしない判断が妥当か否か、
ご教授いただけますでしょうか。
【参考条文・通達・URL等】
松岡章夫 (編著)『令和3年補訂 ゼミナール相続税法』
一般財団法人 大蔵財務協会、2021年9月10日発行 342ページ
(注3) ただ、相続人全員の合意による遺産分割のやり直しによる再取得を相続
と認める最高裁平成2年9月27日判決(以下「2年判決」という。)、課税
上もこれを認める(ただし傍論)東京高裁平成12年1月26日判決(確定)
が現れており、その確定は、拙稿「遺産の再分割と課税問題」(Fuji Account-
ing Review 9号(2004年6月)3頁以下)(東京富士大学税務会計研究所)
に詳細に論じている。
結局、遺産分割のやり直しすなわち再分割については、
それが相続人全員の合意による遺産分割協議の解除と
再分割である場合には、民法上は認められるという司法の判断は、
ほぼ定着してきているといってよいであろう。
ただ本件判決及び2年判決の評釈にも見られるように、
当初分割協議により帰属が確定した財産を再分割協議の名の下に
他へ移転するものと認められる場合には、その取得は相続ではなく、
贈与等と認められる場合もあり得るということであろう。
具体的に、どのような場合を贈与とみるかは、今後の判例等の
集積と分析を待つしかないのであろう。ただ、少くとも、
従来の課税当局の見解のように、遺産分割のやり直しは、
分割が無効というような例外を除き、すべて贈与又は交換と見るという
画一的な姿勢は徐々に修正されてくるのではないかというのが、
筆者の結論である。
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