[soudan 10130] 代償金に係る税務上の取扱いについて
2025年4月14日

税務相互相談会の皆さん

下記について教えて下さい。


【税  目】


相続税・贈与含む(井上幹康税理士)


【対象顧客】


個人


【前  提】


【前提事実】

・被相続人甲が令和4年10月に他界

・被相続人甲の相続人は乙、丙の2人である

・甲には多数の不動産等があり、遺言書も残されており

 基本的には遺言書通りの相続となったが、甲と乙で共有していた

 不動産Aの売却代金については遺言に記載されておらず、

 その帰趨を確定する必要が生じた。

・不動産Aの持分は甲が2/3、乙が1/3であった。

 また不動産Aの売却代金は8,300万円であり、

 諸費用等を差し引いた後の所有者が受領すべき金額としては

 それぞれ、甲が5,300万円、乙が2,600万円であった。

 しかし、甲の同意を得た上で、これらの金額を全て乙が受領していた。

・そこで、丙としては、この甲が取得すべき金額5,300万円について、

 相続により、乙が保管金(預り現金)として受領し、

 その代償金として、乙から丙に対し、3,000万円~3,800万円を

 支払うという和解(調停)が提案されるに至っている。

・上記預り現金を含めた被相続人甲に係る相続財産の

 課税価格は26,400万円(うち、乙:20,600万円、丙:5,800万円)となる。


【時系列】

・平成6年6月 不動産A購入(持分は甲:2/3、乙:1/3)

・平成16年6月 不動産A売却(受領すべき金額としては甲が5,300万円、

 乙が2,600万円であったが、これを全額乙が受領した)

・令和3年7月 甲乙で共有していた不動産Bを売却。売却額は31,500万円。

 持分は甲と乙がそれぞれ1/2ずつであり、売却代金は全額乙が受領、

 残債務等の支払に充てた。

・令和4年10月 甲死亡、相続発生

・令和5年4月 遺言に基づき、不動産Bの売却額のうちの

 甲持分(1/2)である約15,300万円につき、乙が贈与として、

 贈与税申告し、贈与税を支払った。支払った贈与税は7,700万円であった。

・令和7年4月 丙から以下の調停案を受領

 不動産Aの売却額のうち甲取得分(5,300万円)を

 保管金(預り現金)として、乙が相続。

 その代償金として、乙から丙に対して、3,000万円~3,800万円を支払う。

*代償金については確定しておらず、交渉中である。

*相続人丙についても、甲の生前において別の不動産の売却利益につき

 特別受益を受けていますが、上記不動産Bの売却利益とともに、

 当事者双方が、甲が持戻し免除の意思表示をしたことを確認しています。


【質  問】


【質問】

・乙から丙に支払われる予定の代償金(3,000万円~3,800万円)に対する

 税務上の取扱いについてお伺いいたします。


 まず、相続人乙の課税関係については、上記前提事実を基に計算すると、

相続人乙は不動産Bに係る生前贈与加算による贈与税額控除(7,700万円)により

納付すべき相続税額は発生しないことになると思います。

(新たな相続財産が確認されない限り)

 一方で丙の課税関係について、上記代償金の受取りに際し

贈与税等が別途発生することになりますでしょうか。

 この代償金の内容は、2,650万円(上記不動産Aの売却に係る

被相続人甲の持分相当額の1/2・・5,300×1/2=2,650万円)と、

相続人乙が不動産Bの売却代金を生前贈与として修正申告したことで

相続人丙に対して賦課された相続税(附帯税含む)の増額分を

加えた金額を基準として計算されたものです。

 私としましては、相続財産の価額を上回る代償金の交付による、

代償債務者の固有財産の移転に該当するものでもないことから、

遺産分割調停における代償分割による代償金の交付と考え、

相続税以外の贈与税等の課税関係は発生しないものと考えておりますが、

間違ってはおりませんでしょうか。

 特に、代償金のうち、相続人丙に対して賦課された相続税の

増額分相当については、本来の相続財産とは性質が異なり

和解金の一種として、丙について一時所得扱いになるのではとも考え、

整理ができておりません。


よろしくお願いいたします。


【参考条文・通達・URL等】


【法令等】

・相基通11の2-9 代償分割が行われた場合の課税価格の計算

・民法549条 贈与

・所得税法34条 一時所得




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