[soudan 08885] 建物の解体費等の所得税の取り扱い(不動産所得)
2025年2月19日

税務相互相談会の皆さん

下記について教えて下さい。

【税  目】

所得税<申告所得税・源泉所得税>(山形富夫税理士)

【対象顧客】

個人

【前  提】

・個人甲はA社(甲が代表取締役)に自己の不動産X(建物及びその敷地)を
 事務所として賃貸していた。
・不動産Xは甲及び乙と2分の1ずつ共有になっていた。
・不動産Xの建物は老朽化しており、A社からの要望により建替えを行うことになった。
・建替えに際して次の取引が発生した。
(1)甲は乙より土地の共有持分2分の1について買取りを行う
(2)建物の解体費は甲が全額負担し解体を行う(共有土地の取得時の条件)
(3)新築建物はA社が事務所として賃借する。
(4)解体~完成まではおよそ1年超要する(2024年中~2025年中)。

2024年中には旧建物の取り壊しは完了し、新建物は完成していない。

この期間、甲としてはその期間賃料収入が得られないが、
A社からの建替え要望に基づき建て替えを行うものであるため
地代収入見合いの賃料を収入することとして、A社から甲に対して
賃料補償の名目で支払いを行っている。

このような状況で2024年の年末を迎えた。

【前提】
甲は過去から青色申告により当該不動産から生じる収入を
不動産所得として申告している。

不動産所得に関わる青色申告特別控除は10万円の控除である
(建替え前後においていずれも業務的規模の見込み)。

不動産の取り壊しにより、収入が減少しており、
年額700万円程度となる見込みである。

取壊し費用1300万円その他の経費を入れると不動産所得はマイナスになる見込みである。

【質  問】

【質問】
令和6年分の所得税の確定申告に関わる所得の計算として以下の考え方でよいか、
ご見解をいただけますと幸いです。

(1)解体費1300万円については2分の1を必要経費に算入し、
2分の1を土地の取得価格に含めるという取り扱いでよろしいでしょうか。

理由:もともと所有していた2分の1の部分は不動産所得を生ずべき事業の用
に供されていた業務用の固定資産から業務用の固定資産への建替えによる費用と考えて必要経費となる。

一方で新たに取得した土地の持分2分の1の部分は
取得後おおむね1年以内に当該建物等の取壊しに着手するなど、
その取得が当初からその建物等を取り壊して土地を利用する目的であることが
明らかであるため(所基通38-1)

(2)今回土地の取得から建て替えについて金融機関から個人で借り入れをしています。
不動産所得が赤字になることを前提として、
当該借入金利については、土地以外の部分については必要経費としてよろしいでしょうか。

(3)旧建物について残価があり、当該残価の除却損が生じます。
この除却損については、除却損計上前の不動産所得が赤字の場合、
必要経費に含まれないという取り扱いになるでしょうか。

以上、よろしくお願いいたします。

【参考条文・通達・URL等】

38-1 (土地等と共に取得した建物等の取壊し費用等)

No.1391不動産所得が赤字のときの他の所得との通算
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1391.htm

建物の取壊し費用の所得税法上の取扱いについて-取壊し目的と必要経費性との関係を中心として-
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/90/01/index.htm