税務相互相談会の皆さん
下記について教えて下さい。
【税 目】
法人税(中川輝美税理士),所得税(山形富夫税理士)
【対象顧客】
法人
【前 提】
・従業員が通勤に当たり必要な交通費(通勤定期代)について、
毎月の給与とは別に、従業員が立替えた都度、実費精算(領収書に基づく金額を精算)を行っている
・上記実費精算額については、給与明細に記載されていないが、
現金出納帳(又は現金出納帳として日々記帳を行っている会計ソフト)には、
通勤定期代の精算として、従業員名、出発駅と終着駅、何ヶ月分の定期代かの記帳はされている。
【質 問】
(1)上記前提の場合、「通常の給与に加算して支給」していることにはならず、
所法9①五の規定の適用されない結果、従業員に対して実費精算を行った
通勤定期代について給与課税されることとなるのでしょうか?
(2)仮に(1)において給与課税される場合、所法9①四を適用して、
所得税の非課税対象とすることはできないでしょうか?
(3)仮に給与課税されたとしても、業務に必要な通勤費用である以上、
損金算入されるということで良いでしょうか。
私見ですが、(1)については、給与明細(又は賃金台帳)に記載がなくても、
業務上必要な通勤定期代であることが疎明できる資料(領収書及びその記帳)があれば、
本来、所得税課税を行う理由はないように思われます。
ただ、法令上は「通常の給与に加算して」とありますので、
通常の給与の支給時期と同時に支給することが前提となっていると解釈できることから、
上記前提の場合は、この部分の要件を満たさず、所法9①五の適用はないと判断される可能性もあるかとは思います。
ただ、所法9①五の適用はなかったとしても、業務上必要な通勤費であることに変わりはないため、
所法9①四の適用の余地もあるのではないかと思っております。「勤務する場所を離れてその職務を遂行するため」という文言に
上記前提が該当するか議論の余地はあるかとは思いますが、所基通9-3の逐条解説では、非課税とする理由について
「これが使用者の業務上の必要に基づく支出の実費弁償にすぎないものであるところから、
いわゆる「旅費」として非課税とされています」とあります。
この非課税とする趣旨を前提とすれば、業務上必要な費用の精算を労使合意による方法で
行っている上記前提において、所得税課税を行う理由はないように思われます。
(3)については、業務上必要な費用である以上、その費用が従業員に対して所得税課税されるか否かにかかわらず、
法法22③二により、損金に算入されると思います。
以上、先生のご見解をお聞かせください。
【参考条文・通達・URL等】
所得税法9条1項4号、5号
令和6年版所得税基本通達逐条解説 大蔵財務協会 今井慶一郎他3名共著 60-61頁 所得税法基本通達9-3(非課税とされる旅費の範囲)の
解説「給与所得者(又はその遺族)が次に掲げる旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため
使用者等から支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるものは、
これが使用者の業務上の必要に基づく支出の実費弁償にすぎないものであるところから、
いわゆる「旅費」として非課税とされています(所法9?四」
図解令和5年版 源泉所得税 一般財団法人大蔵財務協会編 31頁
「1 非課税の通勤手当として取り扱われるためには、通常の給与に加算して支給することが要件とされていますので、
基本給やその他の手当とは明確に区分し、給与明細書等に通勤手当等と明示して支給する必要があります。」
法人税法22条3項2号
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