[soudan 06548] 生計を一にするの意義
2024年10月31日

税務相互相談会の皆さん
下記について教えて下さい。

【税  目】

所得税(山形富夫税理士)

【対象顧客】

個人

【前  提】

所得税法基本通達2-47(生計を一にするの意義)の
解釈についての質問になりますので、特にございません。

【質  問】

所基通2-47(生計を一にするの意義)(1)の解釈ですが、
別居している場合(日常の起居を共にしていない場合)は、

① 生活費、学資金、療養費等の送金又は支出が行なわれていなければ、
 余暇において起居を共にしていたとしても「生計を一にする」ものとは言えないという解釈で良いのでしょうか?

② また、これらの送金・支出は、あくまで扶養義務(民法877)に基づく範囲内で行われることを想定しており、
 十分な所得のある親族に生活費等を送金していた場合は、「生計を一にする」ものとは認められないのでしょうか?

私見ですが、単に余暇に親族のもとで起居しているだけで、
別居している間にこれらの親族間で生活費等の送金又は支出がない場合は、
日常の資を共にしていると言えるとは思えません。

下記国税通則法基本通達46-9では、別居している場合は
常に生活費等を支出して含まれている場合が含まれるとされています。
H20.6.26の裁決事例においても、
「少なくとも居住費、食費、光熱費その他日常生活に係る
費用の全部又は主要な部分を共通にしていた関係にあったことを要する」
とあります。


扶養親族が非居住者である場合に、
扶養控除を適用する要件として送金関係書類の提出又は提示があります。

上記を勘案すると、別居している場合は、
生活費に相当する送金が必要ではないかと思われます。
また、十分な収入がある(自身の収入だけで生活できる扶養の必要のない)
親族に対して生活費等の送金をしたとしても、
それは贈与に当たる行為であり、その送金をもって
「生計を一にする」とは言えない気がしております。

先生のご見解をお聞かせください。

【参考条文・通達・URL等】

令和6年度所得税逐条解説 40-41頁
『…「生計を一にする」とは、
これらの規定が個人の担税力の強弱をいわば
その者の経済生活単位ごとにとらえ、
これを租税負担の面で考慮する趣旨のものである
といえるところから、一般的には、
同一の生活共同体に属して日常生活の資を
共通にしていることをいうものと解されている。
したがって、この場合の「生計を一にする」とは、
必ずしも一方が他方を扶養する関係にあることとをいうものではなく、
また、必ずしも同居していることを要するものでもない。』

平成20年6月26日裁決
https://www.kfs.go.jp/service/JP/75/38/index.html


『「生計を一にしていた」とは、同一の生活単位に属し、相助けて共同の生活を営み、
ないしは日常生活の資を共通にしている場合をいい、
「生計」とは、暮らしを立てるための手立てであって、通常、日常生活の経済的側面を指すものと解される。
 したがって、被相続人と同居していた親族は、明らかにお互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、
一般に「生計を一にしていた」ものと推認されるが、別居していた親族が「生計を一にしていた」ものとされるためには、
その親族が被相続人と日常生活の資を共通にしていたことを要し、その判断は社会通念に照らして個々になされるところ、
少なくとも居住費、食費、光熱費その他日常の生活に係る費用の全部

又は主要な部分を共通にしていた関係にあったことを要すると解される。』

スタンダード所得税第3版 弘文堂 佐藤英明 40頁
『法には「生計を一にする」という状況の内容について定めた規定はなく、解釈に委ねられている。

…課税実務は、これに該当するためには「必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではない」とし、
勤務の都合(例、単身赴任)、
学校の都合(例、実家から離れた学校に在籍して下宿している場合)、
または、療養の都合(例、遠隔地の病院に入院している場合)などで家族と離れて住んでいる配偶者や子どもであっても、
休暇のときなどには家に帰ってくるような場合や、
これらの個人の間で生活費などの送金が常に行われている場合には「生計を一にする」ものとしている(所基通2-47(1))。


まさに、「財布を共有している関係」の実定法的な表現が「生計を一にする」ということであることになる。
このような「生計を一にする配偶者その他の親族」という考え方が用いられる場面(所得控除等)では、
現行法においても、厳密な個人単位主義とは少し異なる消費単位主義的な発想が含まれているといえよう。』

国税通則法基本通達46条関係9(生計を一にする)

「法第46条第2項第2号の「生計を一にする」とは、納税者と有無相助けて日常生活の資を共通にしていることをいい、
納税者がその親族と起居を共にしていない場合においても、
常に生活費、学資金、療養費等を支出して扶養している場合が含まれる。…」

民法877条(扶養義務者) 



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