[soudan 21644] 米国LPの法人該当性と償却に係る租税負担割合
2026年9月24日
税務相互相談会の皆さん、こんにちは。
米国子会社がデラウェア州のリミテッドパートナーシップに投資している場合の、
日本の外国子会社合算税制における租税負担割合について、以下の5点を確認させてください。
【税 目】
国際税務 法人税
【対象顧客】
法人
【前 提】
内国法人の外国関係会社である米国子会社は、
米国で通常の法人所得税が課されるC Corporationです。
日本の外国子会社合算税制上、特定外国関係会社に該当することを前提とし、
租税負担割合が27パーセント以上となるかを検討しています。
米国子会社の投資先は、デラウェア州法に基づくリミテッドパートナーシップです。
以下、投資先LPといいます。
米国では法人課税を選択しておらず、投資先LPの損益が
米国子会社に配賦されるパススルー課税を受けています。
米国子会社は、LP持分の取得に伴い、投資先が保有するのれん等について、
米国税務上の償却計算の基礎となる金額を計算し直しています。
この計算によって米国子会社が追加で償却できることになった金額を、
15年間の定額法で償却しています。
償却費は、投資先LPから配賦される所得とは別に、米国子会社で控除します。
米国側からは、この償却の根拠として、
米国内国歳入法197条とAmerican Jobs Creation Act of 2004の886条が示されています。
886条は、従来197条の対象外だったプロスポーツチームを運営する権利や、
その取得に伴うのれん等にも、同条の償却を適用することとした改正と理解しています。
今回の償却は、この改正を背景とするのれん等の償却であり、
LP持分そのものを償却するものではありません。
以下の数値は説明用の仮定です。数値例では州税を考慮せず、
連邦法人税率を21パーセントとしています。
実際の州税については、各州の法令に従って別途計算する前提です。
質問1 日本の外国子会社合算税制の計算で、投資先LPを組合として扱うことが認められるか
最高裁平成27年7月17日判決では、デラウェア州のリミテッドパートナーシップが
日本の租税法上の外国法人に該当するとされています。
一方、国税庁の英文公表資料には、米国LPの所得について、
日本居住者であるパートナーの構成員課税の取扱いを争わない旨の記載があります。
本件では、LPに直接出資しているのは日本の居住者ではなく、米国子会社です。
この場合にも上記の国税庁の取扱いが及び、投資先LPを組合として扱って、
その損益を米国子会社に直接取り込むべきなのでしょうか。
質問2 組合として扱う場合、上記償却を非課税所得として分母に加算する必要があるか
米国子会社で別途行う償却を控除する前の、デラウェアLPからの配賦所得を1000米ドル、
上記償却を800米ドルとします。米国子会社の米国課税所得は200米ドルとなり、
連邦税額は42米ドルになります。
措置法施行令39条の17の2第2項第1号イ及び措置法通達66の6の25との関係では、
上記償却は、スポーツ関係の改正を経て適用されるものではあるものの、
197条に基づいてのれん等の取得原価を費用にする処理と考えています。
そのため、800米ドルを非課税所得として加算せず、
分母は償却後の200米ドルとするのが妥当と考えています。
この場合、分子は42米ドルで、租税負担割合は21パーセントになります。
仮に800米ドルの加算が必要であれば、分母は1000米ドルとなり、
分子の42米ドルは変わらないため、租税負担割合は4.2パーセントになります。
上記償却は非課税所得の加算対象に当たらず、分母を200米ドルとする理解でよいでしょうか。
質問3 法人として扱う場合、償却800米ドルを控除せず、分母を1000米ドルとするか
質問2と同じく、デラウェアLPからの配賦所得を1000米ドル、
米国子会社で別途行う償却を800米ドルとします。これに加え、
同じ年度に、米国子会社がLPから通常の利益分配1000米ドルを受けたとします。
実際の米国申告では、配賦所得1000米ドルから償却800米ドルを控除するため、
米国子会社の課税所得は200米ドルです。
一方、日本の外国子会社合算税制でLPを外国法人として扱う場合は、
措置法通達66の6の24の2及び66の6の21の2に従い、
LPの配賦所得1000米ドルを米国子会社の所得から除き、
利益分配1000米ドルを計上すると理解しています。
上記償却は、LP持分の取得に伴い、
投資先が保有するのれん等について認められたものです。
そのため、この計算では償却800米ドルも控除せず、
租税負担割合の分母は、利益分配の1000米ドルになると考えています。
分母を200米ドルではなく1000米ドルとする、この計算でよいのでしょうか。
質問4 法人として扱う場合、分子を210米ドルとし、租税負担割合を21パーセントとするか
質問3と同じ数値例で、償却800米ドルを控除できず、
分母が1000米ドルになる場合について確認します。
実際の米国申告では、課税所得は200米ドルですので、
米国子会社が負担する連邦税は42米ドルです。
しかし、措置法施行令39条の17の2第2項第2号及び措置法通達66の6の24の3に従い、
租税負担割合の分子も、LPの所得を米国子会社に配賦する規定がないものとして
計算し直すと理解しています。
この計算では、米国子会社の所得は利益分配の1000米ドルとなり、
それに対応する連邦税額は210米ドルになります。
したがって、分子は実際の連邦税額42米ドルではなく210米ドル、
分母は1000米ドルとなり、租税負担割合は4.2パーセントではなく
21パーセントになると考えています。
この計算でよいでしょうか。
質問5 所得も税額もゼロとなる場合でも、租税負担割合を21パーセントとするか
所得がゼロ又は欠損となる場合の取扱いについて、以下の例で確認します。
投資先LPを組合として扱い、デラウェアLPからの配賦所得が1000米ドル、
米国子会社で別途行う償却も1000米ドルであるとします。
この場合、租税負担割合の分母となる所得はゼロで、実際の連邦税額もゼロです。
この場合には、措置法施行令39条の17の2第2項第5号イにより、
主たる事業であるLPへの投資から所得が生じたとした場合に、
その所得に適用される税率で判定すると理解しています。
この例では、その所得に適用される連邦法人税率を21パーセントとし、
同号の括弧書きに定める非課税配当には該当しないものとします。
したがって、所得も税額もゼロであっても、
この例の租税負担割合は21パーセントになると考えています。
この理解でよいでしょうか。
【参考条文・通達・URL等】
最高裁平成27年7月17日判決
国税庁 米国LPを通じて日本居住者であるパートナーが得る所得の取扱いに関する英文公表資料
国税庁 租税特別措置法関係通達 法人税編 66の6関係
国税庁 外国子会社合算税制に関するQ&A 令和元年7月 問3、問5及び問6
American Jobs Creation Act of 2004 886条
米国内国歳入法197条 米国政府刊行2024年版
米国子会社がデラウェア州のリミテッドパートナーシップに投資している場合の、
日本の外国子会社合算税制における租税負担割合について、以下の5点を確認させてください。
【税 目】
国際税務 法人税
【対象顧客】
法人
【前 提】
内国法人の外国関係会社である米国子会社は、
米国で通常の法人所得税が課されるC Corporationです。
日本の外国子会社合算税制上、特定外国関係会社に該当することを前提とし、
租税負担割合が27パーセント以上となるかを検討しています。
米国子会社の投資先は、デラウェア州法に基づくリミテッドパートナーシップです。
以下、投資先LPといいます。
米国では法人課税を選択しておらず、投資先LPの損益が
米国子会社に配賦されるパススルー課税を受けています。
米国子会社は、LP持分の取得に伴い、投資先が保有するのれん等について、
米国税務上の償却計算の基礎となる金額を計算し直しています。
この計算によって米国子会社が追加で償却できることになった金額を、
15年間の定額法で償却しています。
償却費は、投資先LPから配賦される所得とは別に、米国子会社で控除します。
米国側からは、この償却の根拠として、
米国内国歳入法197条とAmerican Jobs Creation Act of 2004の886条が示されています。
886条は、従来197条の対象外だったプロスポーツチームを運営する権利や、
その取得に伴うのれん等にも、同条の償却を適用することとした改正と理解しています。
今回の償却は、この改正を背景とするのれん等の償却であり、
LP持分そのものを償却するものではありません。
以下の数値は説明用の仮定です。数値例では州税を考慮せず、
連邦法人税率を21パーセントとしています。
実際の州税については、各州の法令に従って別途計算する前提です。
質問1 日本の外国子会社合算税制の計算で、投資先LPを組合として扱うことが認められるか
最高裁平成27年7月17日判決では、デラウェア州のリミテッドパートナーシップが
日本の租税法上の外国法人に該当するとされています。
一方、国税庁の英文公表資料には、米国LPの所得について、
日本居住者であるパートナーの構成員課税の取扱いを争わない旨の記載があります。
本件では、LPに直接出資しているのは日本の居住者ではなく、米国子会社です。
この場合にも上記の国税庁の取扱いが及び、投資先LPを組合として扱って、
その損益を米国子会社に直接取り込むべきなのでしょうか。
質問2 組合として扱う場合、上記償却を非課税所得として分母に加算する必要があるか
米国子会社で別途行う償却を控除する前の、デラウェアLPからの配賦所得を1000米ドル、
上記償却を800米ドルとします。米国子会社の米国課税所得は200米ドルとなり、
連邦税額は42米ドルになります。
措置法施行令39条の17の2第2項第1号イ及び措置法通達66の6の25との関係では、
上記償却は、スポーツ関係の改正を経て適用されるものではあるものの、
197条に基づいてのれん等の取得原価を費用にする処理と考えています。
そのため、800米ドルを非課税所得として加算せず、
分母は償却後の200米ドルとするのが妥当と考えています。
この場合、分子は42米ドルで、租税負担割合は21パーセントになります。
仮に800米ドルの加算が必要であれば、分母は1000米ドルとなり、
分子の42米ドルは変わらないため、租税負担割合は4.2パーセントになります。
上記償却は非課税所得の加算対象に当たらず、分母を200米ドルとする理解でよいでしょうか。
質問3 法人として扱う場合、償却800米ドルを控除せず、分母を1000米ドルとするか
質問2と同じく、デラウェアLPからの配賦所得を1000米ドル、
米国子会社で別途行う償却を800米ドルとします。これに加え、
同じ年度に、米国子会社がLPから通常の利益分配1000米ドルを受けたとします。
実際の米国申告では、配賦所得1000米ドルから償却800米ドルを控除するため、
米国子会社の課税所得は200米ドルです。
一方、日本の外国子会社合算税制でLPを外国法人として扱う場合は、
措置法通達66の6の24の2及び66の6の21の2に従い、
LPの配賦所得1000米ドルを米国子会社の所得から除き、
利益分配1000米ドルを計上すると理解しています。
上記償却は、LP持分の取得に伴い、
投資先が保有するのれん等について認められたものです。
そのため、この計算では償却800米ドルも控除せず、
租税負担割合の分母は、利益分配の1000米ドルになると考えています。
分母を200米ドルではなく1000米ドルとする、この計算でよいのでしょうか。
質問4 法人として扱う場合、分子を210米ドルとし、租税負担割合を21パーセントとするか
質問3と同じ数値例で、償却800米ドルを控除できず、
分母が1000米ドルになる場合について確認します。
実際の米国申告では、課税所得は200米ドルですので、
米国子会社が負担する連邦税は42米ドルです。
しかし、措置法施行令39条の17の2第2項第2号及び措置法通達66の6の24の3に従い、
租税負担割合の分子も、LPの所得を米国子会社に配賦する規定がないものとして
計算し直すと理解しています。
この計算では、米国子会社の所得は利益分配の1000米ドルとなり、
それに対応する連邦税額は210米ドルになります。
したがって、分子は実際の連邦税額42米ドルではなく210米ドル、
分母は1000米ドルとなり、租税負担割合は4.2パーセントではなく
21パーセントになると考えています。
この計算でよいでしょうか。
質問5 所得も税額もゼロとなる場合でも、租税負担割合を21パーセントとするか
所得がゼロ又は欠損となる場合の取扱いについて、以下の例で確認します。
投資先LPを組合として扱い、デラウェアLPからの配賦所得が1000米ドル、
米国子会社で別途行う償却も1000米ドルであるとします。
この場合、租税負担割合の分母となる所得はゼロで、実際の連邦税額もゼロです。
この場合には、措置法施行令39条の17の2第2項第5号イにより、
主たる事業であるLPへの投資から所得が生じたとした場合に、
その所得に適用される税率で判定すると理解しています。
この例では、その所得に適用される連邦法人税率を21パーセントとし、
同号の括弧書きに定める非課税配当には該当しないものとします。
したがって、所得も税額もゼロであっても、
この例の租税負担割合は21パーセントになると考えています。
この理解でよいでしょうか。
【参考条文・通達・URL等】
最高裁平成27年7月17日判決
国税庁 米国LPを通じて日本居住者であるパートナーが得る所得の取扱いに関する英文公表資料
国税庁 租税特別措置法関係通達 法人税編 66の6関係
国税庁 外国子会社合算税制に関するQ&A 令和元年7月 問3、問5及び問6
American Jobs Creation Act of 2004 886条
米国内国歳入法197条 米国政府刊行2024年版
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