[soudan 21124] 居住用財産の3,000万円控除の特例
2026年8月25日
税務相互相談会の皆さん
下記について教えて下さい。

【税  目】

所得税<譲渡所得>(石田一弘税理士)

【対象顧客】

個人

【前  提】

【物件・所有関係】
・所在 相続により取得した土地・建物
・土地 甲 2分の1 / 乙 2分の1(共有)
・建物 甲の単独所有
・甲乙の関係 兄弟(甲が兄、乙が弟)

【居住・生計の状況】
・乙が長年、当該建物を生活の本拠として居住
・甲は当該建物に10年以上居住していない
・甲乙は別居であり、生計を一にしていない
・土地の利用関係は使用貸借(権利金・地代の授受なし)

【譲渡の予定】
・土地建物を一括して第三者に譲渡する予定
・被相続人の取得時期を引き継ぐため長期譲渡所得(20.315%)となる見込み

【当方の一次的見解】
① 現状の事実関係のままでは、甲・乙のいずれについても
措法35条1項の適用はできないと考えております。


② 措置法通達35-4は、家屋所有者に生じた3,000万円控除枠の未使用額を、
 同居する土地所有者に配分する規定であり、その前提として家屋の譲渡が
 措法35条2項各号に該当する譲渡(=家屋所有者自身の居住用家屋の譲渡)
 であることが必要と解しております。
 本件では建物所有者である甲が 居住していないため、
 配分の前提となる控除枠が生じません。


③ 加えて通達35-4(2)(生計一)および(3)(家屋所有者との同居)も満たしません。

なお同通達の設例からは、兄弟間であること自体は
 障害とならないものと理解しております。


④ 家屋を所有せず居住していた者が敷地のみを譲渡した事案について、
 東京地裁昭和54年8月1日判決(税務訴訟資料106号20頁)も適用を
 否定しており、拡張解釈による救済は困難と考えております。


【質  問】

譲渡に先立ち、乙が甲から建物(の全部または持分)を取得することにより、
乙自身が「自己の居住用家屋およびその敷地」の所有者となった上で
土地建物を 一括譲渡し、乙単独で措法35条1項の適用を受ける。

以下の点について、先生のご見解をお伺いしたく存じます。


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質問①(措法35条1項の適用)
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乙は長年当該建物を生活の本拠として居住しており、
居住の実態そのものは 堅固であると考えております。
譲渡前に建物の所有権を取得することにより、
乙の建物持分および土地持分について措法35条1項の適用が認められる、
との理解でよろしいでしょうか。


また、措法35条1項・31条の3および措令20条の3の要件上、
譲渡家屋の「所有期間」の長短は問われない(所有期間要件は
軽減税率の特例に固有の要件である)との理解に相違ございませんでしょうか。


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質問②(否認リスクの評価)
────────────────────────────────
譲渡直前の名義移転について、実質判断あるいは
同族間の租税回避行為として否認されるリスクを、
どのように評価されますでしょうか。


措令20条の3第2項は「この特例の適用を受けることのみを
目的として入居したと認められる家屋」等を除外する規定であり、
あくまで「入居」に関する規定であって所有権の取得時期には
直接及ばないものと理解しておりますが、実務上の運用や
調査事例において、譲渡前の所有権移転自体が
問題とされた例はございますでしょうか。


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質問③(安全な期間および備えるべき実態)
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否認リスクを抑えるうえで、名義移転から譲渡までに
どの程度の期間を置くのが実務上妥当とお考えでしょうか。


また、所有の実態を裏付ける資料として、
固定資産税・修繕費・火災保険料の負担者の変更、登記、
贈与税申告書の提出などを想定しておりますが、
ほかに重視すべき点はございますでしょうか。


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質問④(甲側の取扱いの確認)
────────────────────────────────
乙が建物の全部を取得した場合であっても、
甲の土地2分の1持分については、通達35-4により
乙の控除枠未使用額の配分を受ける余地はないものと
理解しております(同通達は家屋所有者から
土地所有者への一方向の配分であり、甲は同居および
生計一の要件を満たさないため)。


この理解に相違ございませんでしょうか。
結果として、甲の土地持分に係る譲渡所得は
全額課税対象となる見込みです。

【参考条文・通達・URL等】

【法令】
・租税特別措置法35条(居住用財産の譲渡所得の特別控除)
・租税特別措置法31条の3(居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例)
・租税特別措置法39条(相続財産に係る譲渡所得の課税の特例)
・租税特別措置法施行令20条の3
・相続税法7条(みなし贈与)

【通達】
・租税特別措置法関係通達35-4
(居住用家屋の所有者以外の者が有する土地等の場合の特別控除)
・租税特別措置法関係通達31の3-2(居住用財産の範囲)
・国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/sochiho/710826/sanrin/sanjyou/soti35/01.htm

【判例】
・東京地裁 昭和54年8月1日判決(税務訴訟資料106号20頁)

【国税庁タックスアンサー】
・No.3302 マイホームを売ったときの特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm



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